メジ ワラサ
様々な魚を捌く機会がある。
自分で釣ってくるからに他ならないが、
魚の個別の形態や、体質に驚くことしきりである。
今日の驚きは、マグロの子を捌いた時にあった。
魚ってのは、
血の気の多い奴と、
少ない奴に別れる。
ヒラメや、カワハギの様な、白身の魚を捌いても、
さして血は流れない。
紙ナプキンで、ヒョイと拭いてやる程度だ。
しかし、サバや、カツオになると、こうはいかない。
まず、捌く前に、
心して台所を片付けておかなくてはならない。
飛び散った血で、辺りが汚れるのを防ぐ為だ。
なぜ、彼らは、あれほどの血を必要としているのだろうか?
魚界でいえば、彼らは長距離ランナーである。
身が赤いという事は、<ゆっくり筋>
すなわち、瞬発力より、
持久力を重視した身体作りをしている。
だから、血をたくさん必要とするとでもいうのだろうか?
人間でいえば、マラソン選手が、血の気が多くなる計算になるが、
そうとも思えない。
いやいや、人間の血の量は一定だろう。
なんて事を考えていたら、こいつが手に入った。
<メジ>
本マグロの子だ。2、5キロ。
メジを食べた事はあるし、触った事もあるが、
自分で捌いたのは、初めてだった。
そして、驚き、呆れたのである。
その血の量に・・
台所を、
心した、つもりが、いつもの
心では甘かった。
いったい、この魚体のどこから、これほど溢れてくるのだろう?
2,5キロの魚体で、この有様だ。
100キロを超える本マグロであったら、
いかほどの修羅場になる事やら・・
そして、お味の方は・・
え~とぉ、資源の枯渇問題が叫ばれている昨今をかんがみ、
え~とぉ、マズイです。
とてもマズイです。
食べるのをよしましょう。