さあて、イギリス旅行に旅立った。
成田エアポートを離陸した。
足が、日本から離れた瞬間から、心はイギリスに飛んでいる。
ついでに、態度が急に
外国人化する。
客室乗務員(以下、客乗)に英語で喋りかけられる。
返す返事が
「
hum hun」
これは、「フムフム」ではない。
本人は、この相槌を英語でうなづいているつもりなのだ。
アクセントも最初の「hum」で下がり、
次の「hun」で上がっている。
『新聞読みますか?』
「hum hun」
『スリッパお使いになりますか?』
「hum hun」
日本にいた時どおり、「はい」でいいじゃないか。
「ええ」でいいじゃないか。
と思うのだが、口は「hum hun」と喋っている。
調子に乗ると、
「ワインはいかがですか?」
『
iya!』
イエスと言えばいいのに、iya! っと発音する。
どこで覚えてきたのか、iya! っが出てくる。
これまでの日本の暮らしで、一度も使った事が無いくせに、
iya! っと、口は喋っている。
なぜ、イエスと言わないんだ!
いつからお前は外国人になったんだ!
との非難をよそに、恥ずかしげもなく、iya!
iya!のうちは、まだいい。
これが、否定形になると、外国人化はエスカレートする。
「食事お済みですか?」
『
nohoo』
このnoの、nの文字を発音する時、
舌を上の歯の裏に思いっきり、押し付けている。
つまり、「ノ」の音が出る前に、
「んん~」という音を発しているのである。
はい、やってみましょう。
まず、普通に「ノー」と言ってみよう。
次に、
舌を上の歯の裏に2秒ほど押し付けて
「んん~」と言ってから
「ノー」と言ってみよう。
ねっ、否定形が、なんか英語っぽいでしょ。
さらに、アゴを小さく振ってみよう。
『nohoo』
よおし、おまけだ、眉を吊り上げてみよう。
『nohoo』
こうなったら、ついでだ、両肩を上げてみよう。
「お食事片付けてもよろしいですか?」
『
nn~nohoo!』