<ベン・ネビス>
イギリスにある、最も標高の高い山である。
最も高いと豪語しながら、その標高は
1344mしかない。
3772mの富士山を冠としている我々日本人としては、
「なめとんのか~」と片肌脱ぎたくなる。
その山の麓に、造り酒屋がある。
そこは、ウイスキーを造っている酒蔵だ。
イギリスでも、名門のウイスキー酒蔵だ。
いや、世界でも名高い酒蔵だ。
最近では、日本にも輸入され、その手のツウには、
『うん、うまいンでないかい』
と、お褒めの言葉を頂いている。
その名も、そのまま、
<
BEN NEVIS>
その酒蔵に行ってきた。
目的は、20年前に樽に収めた筈のウイスキーを
飲みたかったからだ。
なぜか?
実は、<世界の車窓から>という番組、
20年前に始まった。
その第一回目がイギリスだった。
そのベンネビス山の麓を列車で走った。
その年に樽に収められたウイスキーに、想いを馳せたのである。
ウイスキーロマンに酔ってみたかったのである。
ウイスキーというのは、毎年、麦をドウトカして、
樽に詰めて、寝かすそうだ。
その年、その年で味が、全く違うそうだ。
イシマル 「
1987年モノを飲みたいんですが・・」
支配人『無い!』
イシマル 「え~ナシテですかぁ~?」
この酒蔵には、5万個の樽が寝転がしてある。
ビンにして、750万本寝かしてある。
すべての年代のウイスキーが寝転がしてある。
されども
、1987年モノだけ無いと、仰るのである。
「ナシテですかぁ~?」
支配人が胸を張って語るところによれば・・・
《その年は、とんでもない年だったソナ。とてつもなく
旨いウイスキーが出来たソナ、おかげで、
1987年モノは
売れに売れ、もはやこの酒蔵に、ひと樽も残っていないソナ》
そうだったのである。
20年前、世界の車窓からのスタッフが、撮影をしていた年、
奇しくも、豊かなウイスキー土壌が出来たそうなのだ。
なんという偶然。
なんという嬉しい偶然・・
僕らのおかげとは言わないけれど(言ってるけど)、
素晴らしい偶然・・
しかして今、私の目の前に、ベン・ネビスのボトルがある。
勿論、1987年モノではない。
コキッっと空ける。
トコン、トコン、グラスに注ぐ。
氷がゆらぐ・・
グビッ・・喉に流し込む・・
(ふむ・・旨いんでないかい)
え~と・・私ごときには、何年がどうとか・・
あまり関係ない様でありますです・・はい!