餅を喰らう。
雑煮を喰らう。
これまで一番たくさん餅を食べたのは、中学3年の正月だ。
当時下宿をしていた先の家で、おばちゃんから、
雑煮に入れる<餅の数>を訊かれる。
「けんじろくんはいくつ?」
『はい、15個お願いします』
決して小ぶりではない、15個の丸餅である。
パクパクじゅるじゅる、結構な量のデンプンである。
朝から、満腹である。
そして昼になると、おばちゃんが再び訊いてくる。
「けんじろくんはいくつ?」
『はい、15個お願いします』
パクパクじゅるじゅる
夜になる。
「けんじろ~ 」
『はい、15個~ 』
合計45個の丸餅が、けんじろくんの胃袋に納まった。
ところが、これが元旦で終わらなかった。
下宿のおばちゃんは太っ腹だった。
翌日も、同じ事を訊いてくる。
けんじろくんも、同じセリフで返す。
やはり、45個の丸餅が成長に関わった。
そして次の日も、次の日も、
同じ光景が繰り返された。
しかして、一週間が過ぎ、合計315個の餅が、
成長期の少年の成長に、多大な恩恵を与えてくれた。
くれたのは、良かったのだが・・・
『痛っ!』
口を開くと、唇が痛い。
鏡を覗くと、唇の端っこが切れている。
口の中が酸っぱい。
顔色も悪い。
心配したおばちゃんが、病院に連れて行ってくれた。
診断の結果、
<胃酸過多>
餅を大量に食べすぎたセイで、胃酸が大量に出て、
胃が、
酸でやられていると云う。
14才の青年は、いや少年は、まだ頭の方も成長期だったのだ。
皆さん、餅を食べ過ぎるお子さんには、
充分注意を払いましょう。
餅を、どうしても食べて、喉に詰まらせたがる
おじいちゃんにも、注意を払いましょう。