時代というものは、かわいい発明を生み出す。
電話代が、とっても高かった時代。
特に地方に長時間かけると
何日分もの食事代が吹っ飛んだ時代。
だらだら喋っていると、ひと月分の給料が吹っ飛んだ時代。
そこで、
あるアイデアで、
電話代を安くしようと考えた。
まず、かける相手に、
あらかじめ手紙を書く。
何日の何時何分に電話すると書いてある。
そして、その双方がテープレコーダーを用意する。
イシマルは、テープに喋りを録音する。
そして、いよいよだ。
リ~ンリ~ン、相手が出たら、テープを
3倍速で再生する。
電話の向こうでは、相手が同じく
3倍速で録音している。
ガチャリ
やがて、電話は切られ、相手は、
普通再生にして
内容を聞くのだ。
これにより、電話料金を3分の一にする事が出来た。
かくして、
テープレコーダーを持っている友人と
<電話>をおおいに楽しんだのだ。
やったやった!
これは素晴らしいアイデアだと、自負していたのだが、
ある時、人にこう言われた。
『最初に手紙出したんでしょ、だったら、喋る内容を
そこに書けばいいじゃない』
ガ~~~~ン!
そうだった…
せっかくのアイデアがガラガラと崩れてしまった。
<青春とは挫折するもの>
大江健三郎も言っている。