モツ料理に目がない。
モツ大好き人間である。
焼肉屋に行っても、カルビだのロースだのは頼まない。
モツ一辺倒である。
内臓系に、私の内臓が飢えている。
その私が大阪に行くと、必ず立ち寄るモツの店がある。
<金太郎>
知る人ぞ知る、モツの名店だ。
この店では、鉄板で、モツを煮込む。
焼くわけではない。
タレに漬けたモツを鉄板にのせ、
タレごと火に掛けるのである。
甘辛いタレの味に、数種類の臓モツの肉汁がはじける。
一人で行っても、モツのオカワリを3回はする。
そして最後に、煮詰めた肉汁で、<おじや>を作ってくれる。
夕方この店で食事をし、その後、飲み屋のハシゴをし、
もう一回戻ってきて、食べようとした事もある。
それほど旨いと、
私のモツが豪語している。
ところが、この店に
辿り着く道順が未だに分からないのだ。
ミナミの大繁華街に存在しているのだが、
未だ、表通りから、入店した事がない。
最初に入った時、
裏から入ったのだ。
裏の路地をクネクネ曲がり、あげくは、
自転車や、ゴミ箱などが置かれてある
正当でない道を通って入店した。
そのせいか、裏通りの入り口は発見出来るのだが、
表通りは、記憶にない。
「帰りに、表通りから帰ればええやろ」
その通り、帰りはきちっと表から帰る。
しかしである。
その時には、もういい気分に出来上がっているのだ。
キコシメシているのだ。
表を見ても、どこが何だか覚える気も無いのだ。
それより、
モツの余韻に浸っていたい私なのである。
よって、私に金太郎に連れていかれるモツ好き仲間は、
犬のション便やら、カラスやらがたむろする
裏街道を通る旨を、覚悟しなければならない。