「とうもろこし食べる?」
ご近所の方が、とうもろこしを栽培したと云う。
『売られているんですか?』
「いや、趣味でね」
へ~趣味でとうもろこしを生やしているんだ。
美味いよ・・というので、早速茹でてみた。
かぶりついた。
ぐわああぁぁ~~~ん!
美味しい・・もの凄く美味しい。
粒はぎっしり詰まって小さく、柔らかい。
恐らく茹でなくとも、食べられそうである。
あまりの美味さに、立て続けに2本食べてしまった。
えっなんですって?
趣味で作ったとか、仰いましたよね。
趣味で、かように美味しいモノが出来るのですかぁ?
だったら、本気になったら、
どれほど美味しいものが出来るでしょう。
っと考えるのは、間違いである。
趣味を甘くみてはいけない。
趣味ほど、情熱をそそぐモノはない。
没頭するのは、趣味である。
寝食忘れるのは、趣味に於いてである。
「なあ~んだぁ、趣味ですかぁ」
などと、軽ろんじた日には、痛い目に会う。
単発勝負では、プロが負ける事も、ままある。
実際、このとうもろこしは、プロに勝ったと云えるだろう。
負けたプロはこう言うに違いない。
『わしら、そんなに時間もお金も使えんとですよぉ』
勝った趣味人は、言うに違いない。
「勝ち負けはいいじゃないですか。食べた人が喜んで貰えれば」
それを聞いたプロは又、肩を落とす。
どうやら、プロ受難の時代である。