<Enter>キーが、気になる。
キーの中でひと際、広いスペースを占領している。
ちょいと離れた位置にあるにも拘わらず、打ち間違いが少ない。
小指で叩かれるのが、常である。
その割には、思いっきり叩かれている。
何かが終わる度に、叩かれる。
変換の度に、叩かれる。
一行の文章で、いったい何回叩かれるだろう?
人によっては、
一語づつ、Enterキーを叩くのではないだろうか。
私
ダンっ は
ダンっ キー
ダンっ を
ダンっ 叩く
ダンっ
相当せっかち極まりないキーの使い方である。
時折、そういう打ち方をしている人が、
新幹線の隣の席に座る事がある。
カシャカシャ
ダンっ カシャ
ダンっ カシャ
ダンっ ダンダンっ
聴いていると、
カシャよりも、
ダンっの方が多いのではないか・・とも思えてくる。
その上、そういう方に限って、Enterキーを叩く筆圧が高い。
こういう場合、<筆圧>という表現でいいのかな?
すなわち、叩く圧力が強い。
一端、指がしなって、打ちつけている破裂音がする。
ダン!ダンっ!
Enterキーに、
まるで、恨みでもぶつけているかの如きの叩き方だ。
「小指、折れるンちゃう?」
いらぬ心配をしてしまう。
うつらうつらしながら、その音を聴いていると、
クラシックやロックのリズムというより、
ジャズの<ソロ>が頭の中に、蘇る。
突然、旋律を外れた、ドラムの激しい乱舞だ。
Enterキーは、シンバルだ。
太鼓の合間にぶっ叩かれる、
シンバルの役目に似ている。
バシ~ン!バシ~ン!
ジャズメンが興に乗ってくると、
最後には、やたらシンバルをぶっ叩く。
シンバルの悲鳴が、トランス状態を導きだす。
あの状態にそっくりだ。
最早、Enterキーしか叩いていないのではないか?
クライマックスの、連打である。
ダンっダンっダンっダンっダンっ!
マイッタかあ~~~
ええ、マイりましたよ、マイりました。
ふんでも、うるさいんですけんどぉ・・・筆圧・・