~食べ物の趣向の一考察~
今、私はスーパーのレトルトコーナーにいる。
目の前には、
カレーのレトルトパックが並んでいる。
ずらっと並んでいる。
30年前では考えられないほどの種類のカレーが並んでいる。
そもそも、このレトルトパックが始まったのは、
<大塚のボンカレー>だ。
山本陽子さんが、着物姿で、奨めていたもんだ。
そのレトルトパック、つまり簡易カレーの選択で悩んでいる。
そのコーナーに行くと、決まって、ひとりの悩み人がいる。
これにしようか、いや、こっちにしようか・・
悩みは尽きない。
値段で悩む場合もある。
値段で悩む場合は、むしろ簡単だ。
いっそ、多売売り場に行き、数個単位の売りを買えばいい。
悩みの最たるものは、その味だ。
カレーは総じて美味い。
味にさしたる差はない。
どれを選ぼうが、ほぼ満足出来る。
言い換えれば、
失敗がない。
「うわっ失敗した、不味い!」
という経験がない珍しい食べものなのだ。
それゆえに、迷いがわく。
「ん?ホテルの何とかと書いてあるぞ」
「インドかあ~」
「野菜が多いらしいな」
「選りすぐりのビーフって何だろう?」
「やっぱ、キーマかなぁ~」
「元祖・・・」
「佐助さんが作ったんだぁ~」
「マハラジャ?」
「海軍って何?」
「えっ、
900円?」
スーパーのカレーコーナーは、私の鬼門である。