「おまえは、バタリアンだ!」
飲み屋で、立ち上がって叫んだのは、役者、
佐藤慶である。
おまえと名指しにされたのは、まごう事なく
イシマルである。
時は、遡る事、23年前、
かの怪優である、佐藤慶(以下敬称略)が、
芝居の旅の最中に、突然、怒りを爆発させた。
「おまえの、
行き当たりばったりは、許せない!」
佐藤慶(さとう けい)
私の尊敬する役者の筆頭に名前が掲げられる面白い方である。
ある意味、メチャクチャな方である。
年多くして、お元気な方である。
60才を超えた頃にして、夕方から、翌日の朝まで
お酒を飲んで騒いでいた超人であった。
芝居に異常なまでの情熱をそそいでいる役者である。
現在、御年、80才!
「この
バタリアンめ!」
慶さんに、叱責される。
「お前は、なんと
行き当たりばったりで生きているんじゃ!」
いえ、私は、
ばったりでは生きてござらん、ケサラン、パサラン。
むしろ、計画を・・・
カアアア~~~ツ!(佐藤慶)
キサマのその緩んだ精神を、
バタリアンと呼ぶんじゃあ!
凄まじい叱責は、ただならぬ力を持っていた。
ふむふむ、なるほどなるほど、
20数年経ってみると、慶さんの仰ってた意味が解る。
確かに、私は、
行き当たりばったりであった。
そして、良い事か、悪い事か・・
今だに、
行き当たりばったりである。
計画と云うものが、上手く練り出せない。
つまるところ、
行き当たりばったり。
目の前の現れた
面白いモノに、反応するのである。
過剰に反応するのである。
ぎゃぁ~~とか云うのである。
「ぎゃあ~~とか、騒ぐんじゃねえ!」
事あるゴトに、私を諫めてくれた。
佐藤慶・・ひょっとして、
100歳を超える最初の日本人俳優かもしれない。