中国の海岸
飛行機によく乗る。
もの凄く乗る人から比べれば、少ないかもしれないが、
よく乗る。
極力、早く空港に着いて、座席を指定する。
勿論、窓際だ。
ブ~ン!
飛行機は、大空に舞い上がる。
雲という雨粒の層を突き抜けてゆく。
何層もの雲を突き抜けてゆく。
どんなに雲が厚かろうとも、
いつかは、宇宙との境界線に飛び出す。
そこは、
群青の世界だ。
子供の頃、絵の具のケースに入っていた<
ぐんじょう色>だ。
その頃、この<ぐんじょう>と云う言葉が理解出来なかった。
ほかの色は、分かり易かった。
赤だの青だの・・
ちょっと捻って、ねずみ色だの、土色だの・・
食べ物系に絡ませて、桃色だの、ダイダイ色だの、レモン色だの、
さらには、田舎風にヤマブキ色だの・・
だが、
ぐんじょう・・
と云う響きをどう解釈していいか理解に苦しんだ。
やがて、少しだけ年齢を重ねて、
<ぐんじょう>が<群青>である事を知った。
<アイイロ>が<藍色>である事を知った年齢に近い。
その群青色が、目の前に広がっている。
目に染みる色があるとすると、私には、群青色である。
青も藍も通り越した先にある、
群青色が私と宇宙を繋いでいる。
山に登る高さでは味わえない、
飛行機ならではの世界がそこにある。
その時、思うのだ。
ここに私を放り出して貰えないだろうか?
地球と宇宙の境目に・・行ってみたい・・