北京の前門大街の下町を歩いていた。
腹ペコであった。
すると、その店は、当たり前のように、私の前に現れた。
肉がブラ下がっている。
鳥なのか、豚なのか、アヒルなのか、ガチョウなのか、
何なのか、ワケの分からないアメ色をした美味そうなヤツが、
私を呼んでいる。
みんなを呼んでいる。
その前を通る地元の人、観光客を呼んでいる。
アレを見て、呼ばれて、お呼ばれしないヤツは、不届きモノだ。
吸い込まれる様に、店のドアを押す。
「いらっしゃいまし~」の言葉は、
ない!
入ると、テーブルが3つほどあり・・
というより、3つしかなく、そのひとつに相席する。
そっちのテーブルには、家族連れ、
あっちのテーブルには、カップル、
私のテーブルには酔いつぶれたおじさん一人。
昼間っから。
丸イスに座るや、店のおばちゃんが来た。
「:*+m_@:;dkp?」
何が食べたいか訊かれたようだ。
ショーウインドーの、鳥なのか豚なのか・・の
中から、三つほど指差すと、にっこり笑った。
「/.;j1*e5-n0?」
何を言われたか分からないが、とりあえず
『
プヨウ(不要)いらない』と言う。
ここで、中国語講座です。
欲しいときは、<要
(ヨウ)。
いらない時は、<不要(
プヨウ)>
っと教わった私である。
ところがである。
私の前に、先ほどのおばちゃんがビールを持ってきた。
昼間っからビールである。
「
プヨウっと言ったよ」
『
ヨウ、
ヨウ』
「いんや、プヨウ、プヨウ!」
『ヨウ、ヨウ』
私の発した、<プ>は、無視され、
強引に、ビールを飲まされる羽目に陥ったのだ。
そして、出てきた鳥なのか豚なのか・・の肉の
美味い事、うまいこと・・
ハグハグ、ぐちゃぐちゃ・・
しかも、私が指差した時、指先がサマヨッタのだろう、
ワケの
わからぬ麺の丼が、付いてきた。
これは何だったのだろう?
ちゃんと切れてもいないし・・
勘定は、46元(740円)であった。
満腹で、店を後にした私に更なる興奮が待っていた。
それは又、明日・・
店内より通りをのぞむ