この写真を見てくれ!
雑炊を私は、すすっていた。
スプーンを右手に持ち、ジュルジュルとすすっていた。
何気なく、右手を下げた。
ふっと、右手が軽くなった。
?
下を見たら、上の写真の状態になっているではないか!
ドンブリの縁に、スプーンが乗っかっているのだ。
それも、見事なバランスをとって!
偶然とはいえ、余りにも見事である。
その見事な偶然にホレボレとし、
いつまでも、
スプーンを外せずにいた。
それは・・実は私にとって、非常に辛い時間となったのだ。
っと云うのも、この雑炊は、私の本日最後の食事なのだ。
まだ昼前なのに、明日の朝10時まで、何も食べられないのだ。
っというのはだね、
明日、定期健診の為、食事制限があるのだよ。
病院から渡されたレトルトパックのこの雑炊だけが、
本日の唯一の食事なのだよ。
その雑炊が、一本の見事なパフォーマンスを魅せる
スプーンによって邪魔をされているのだ。
試しに、別の同じ器に、別の同じスプーンを乗っけてみたのだが、
はからずも、バランスが取れずに、落っこちてしまう。
有り得ない様な偶然とはいえ、
私の唯一の食事はいったい、どうなるのだろうか?
私は、この見事なスプーンを
取り外す権利があるのだろうか?
人として許されるのだろうか?
空腹に負けた・・とノノしられるのではないだろうか?
よし、写真に収めよう。
うん、撮ったぞ。
もういいよな・・外して。
つまり、私は、
空腹に負けた・・