旅番組のスタッフの音声さんに、椀台(わんだい)さんがいる。
変わった名前でしょ。
20年近く一緒に、ロケで方々を跳び回っている。
静かで、大騒ぎする事のない、大人である。
その椀台さんに、数年前の暮れ、
有り得ない衝撃が走った。
本当にあった事なんだよと、つぶやく椀台さん。
今日は、その椀台さん自ら 語って頂こう。
~~~ ~~~ ~~~
あ~椀台です。
その夜、長いロケからやっと家に帰り着いたのは、
もう夜遅くだったのネ。ただいま~アレっ返事が無い。
そうか・・カミサンは用事で実家に帰ってたんだ。
ふえ~仕方が無い、ビールでも飲んで寝るか・・っと、
その前に、確認しとかなきゃ。
我が家では、毎年大きなジャンボ宝くじだけ、購入してんのネ。
いつも、入れてある引き出しを開けると、
10枚つづりの宝くじが出てきたのサ。
連番ではなく、バラで購入したヤツだったのヨ。
え~と、新聞をめくって当選番号のページを開いてネ、
その上に、10枚の宝くじを広げて、
一枚一枚、確認していったのネ。
僕のやり方は、下一桁の方から、順番に見ていく方式ネ。
これも駄目、これも駄目・・
バラの場合、10枚分楽しめるからね。
っと、その時・・
ん?二桁目、いや三桁目まで合ってる。
過去に三桁まで合った事なんて無かったぞ。
次は・・・え~!合ってる・・
次は・・・え~え~合ってるぅ!
5桁まで合ってるじゃないですかあ~
確か、全部で8桁だったよナ。
あと・・・・3桁!
ここで、一度深呼吸を入れたのネ。
スースーハーハー
再度、視線を落とす。
6ッ桁目・・・あ・あ・合ってる!
今、何が起こってんだろ?いいのかな?いいのかな?
次・・7桁目・・・え~~~~合ってる合ってる!
そうなったら、もう最後の数字見れないよネ。
怖いよね。
一度天を仰いでサ、蛍光灯がジーっとか言ってるのを聞いてサ、
さっと下を見たのネ。
最後の桁、8桁目・・・・
ああああああああああああってるううう!!!!!
それから、自分がした事はサ、何度も何度も、確認したネ。
右から、左から、立ってみたり、座ってみたり。
でもサ、何度確認しても、当たってるんだヨ。
何かとんでもない事が始まったという感じなんだヨ。
何億?何億?
たぶん震えていたんだろうネ。
まず思いついたのは、カミサンに電話を入れる事だったネ。
どう切り出そうかと考えたんだけど、
とにかく冷静に静かに話し出したのネ。
「あのサ、当たったよ」
『何が?』
「タカラクジ」
『どの?』
「だから、ジャンボ」
『・・・・・』
「ほんとに、当たったんだよ」
『・・・・・』
「今、何度も確認したから・・え~と何億なんだろ」
『アタシ持ってるわヨ、それ』
「・・へ?」
『ジャンボでしょ・・ホラ、今私のカバンに入ってるわヨ』
「・・・へ?じゃ、コレは何?」
電話をいったん置いて、その宝くじの日付を見たらサア・・
びっくりしたネ、腰が抜けたネ。
ちょうど
一年前の宝くじじゃないの!
カミサンが去年買って、引き出しの隅に押し込み、
忘れたままになっていた宝くじじゃないの!
ねえ、聞いてくれる・・
そんな番号がサ・・
よりによって、
ピッタリ一緒って、信じられるぅ?
信じられるぅ・・・うッ・・うッ・・
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偉いネ椀台さん、すぐに奥さんに電話して・・
良かったネ椀台さん、すぐに奥さんに電話して・・
良かったネ椀台さん、奥さんがすぐに電話に出て・・