《フグ家》
フグの本格派の料理屋にふらっと、入れるものだろうか・・
それも
一人で・・
イシマル探検隊の隊長は、決死の覚悟で挑んだのである。
その挑戦記を、さらさせて頂く。
隊長が挑んだ場所は、食にうるさい大阪であった。
フグに、特にうるさい、大阪は、
なんば地域であった。
ふらっと入った店は、
入り口に、
フグが泳いでいる水槽が無い、店であった。
すなわち、流れの客に期待していない店であった。
す~なわち、
予約以外の客を全く期待していない店であった。
よもや、たった一人の客が、
「ちわ~」などと入れる筈のない店であった。
ちわ~
そんなフグ家に、隊長は踏み込んだのである。
『どうぞ~』
若い女性店員が奥の座席に案内してくれる。
座席に座ったものの、メニューが無い。
お品書きがない。
<接待の店>というレッテルで売っているので、
メニューを見ようとする客は、むしろ疎んじられる。
メニューを見る奴は、出世出来ねえ輩とみなされる。
メニューを頼んだ事で、すでにレッテルを貼られてしまった。
《金をふんだんに使わねえ客》
さあて、フグの刺身とフグ鍋がやってきた。
やってきた・・
やってきた・・
う~む、フグ刺し、少ないなぁ・・
思ったより、随分少ないなぁ~
フグ刺しを一人前盛り付ける習慣のないこの店が、
無理やり盛り付けたガンバリが見て取れる。
食べ物を食べる時の表現で、
《ペロリ》
というのがあるが、今出てきた製品は
《数回でペロリ》 である。
まま・・いいだろう、次は鍋だあ~
っと思いきや、鍋も数回でペロリである。
この意味が解りますかぁ~?
つまりは、
一人で、高価な鍋に挑んではいけない!っと言う事です。
そんな奴は来るな!っと店が主張しているのです。
フラ~と、などという客を排除しているのだ。
え~とね、最初に《フグ家》と表記したのだよ。
《フグ屋》とは書いていないのだよ。
この差に私は驚いている。
ふぐの歯