《じゅくし》
この言葉を聞いて、何を思い出しますか?
じゅくし・・変換すると、<熟柿>である。
熟した柿である。
ジュクジュクの柿である。
表面だけは張りを保っているが、
中身はジュクジュクの果実である。
嫌な言い方をすれば、腐る寸前の果実である。
柿が好きな方の中でも、
<熟柿大好き派>と、<熟柿大嫌い派>に分かれる。
<大好き派>の言い分はこうだ。
「あ~らダンナさん、この熟柿イタダイてごあんさい。
とんでもない甘みなんですのよ。糖度とか云うのを、
器械で測ったら、針、振り切れるんじゃござんせん。
さっさ食べて食べて!」
<大嫌い派>の言い分はこうだ。
『なんつったってよ。このグニャグニャ感がイヤなのよ。
口の中で、グチャグチャになるじゃろ。気色悪いんじゃな。
そもそも、手で掴んだ時の感触が、おぞましい。
いつ破れるかわかんねえ皮をどうかして欲しいわな。
鞄の中に入れといて、グチャと潰れた日には、
一日ブルーになるでぇ』
<大好き派>の反論だ。
「だから、あーた、優しく扱ってあげればいいんですわ。
熟柿ってのは、見事なケーキなんですわよ。自然界が
手を尽くしたナチョラルケーキなのですわ。
大嫌い派
『ほお~ケーキならよ、なんで、種が入っとるんじゃ?
自然界さんに言うとってよ、
手を尽くして種をちゃんと
抜いとってね・・と』
大好き派
「あーたが食べたのは、甘柿の熟柿でしょ!渋柿の熟柿には、
種は入ってないのご存知ないんですかぁ?」
大嫌い派
『知るかい!アマでもシブでもどっちでもええわい。
頼むから、来客にお茶菓子として出さんどいてな。
ありゃ、拷問やで』
大好き派
「あら、あんなに美味しいものが食べられないなんて、
不幸ですわね!」
大嫌い派
『じゃかしい!熟柿の右側を<姉>にしてやろかい!』
うえ~~~ん!
あ~あ、泣かしちゃった・・