なぜかヒマワリ
「手術しましょ」
耳鼻咽喉科のお医者さんが仰る。
鼻の中の骨を削るのだという。
『
痛いですか?』
「
ちょこっと」
話は、3ヶ月前に遡る。
ウインドサーフィンのレースで、福島県に行った。
宿泊は、友人らと、宿に泊まる。
5人部屋だった。
まず、結果から言おう。
私と同部屋の4人は、一晩中眠れなかったのだ。
私の
イビキのせいで。
同部屋にいた仲平くんの言によれば、
「ゆうべ、怪獣がいたよね」
その2ヵ月後に、大分県にやはりレースに行った。
宿は、同じ形式だ。
宿を予約すると、仲間から、サジェスチョンが届いた。
「一人部屋ってのもあるんですけど・・」
つまり、暗に、一人で寝てくれと促しているのだ。
さほど、私のイビキは、
公害に指定されているらしい。
らしいじゃ済まされないので、
意を決して、耳鼻科を訪ねたわけだ。
「では、始めます」
『・・・・』
「はい、リラックスして下さい」
『・・・・』
「力、抜いて下さい」
足の親指が天井を向いている。
ほかの指は、床に向いている。
あのね、力抜けったって、細い尖がった恐ろしい物体が、
私の目のすぐ近くに迫っているのですよ。
3D映画に出てくる、槍の襲撃を思い出す。
例えば、足やら腕の手術なら、顔から遠く離れているので、
ある種、
ひとごとで居られる。
知らん振りをしていられる。
ところが、最も意識を集中すべく、鼻そのものを
イジクロウというのだ。
知らん振りなんか出来るはずがない。
わあ~~~来た来た!
針長8センチはあろうかという注射針が、私の鼻の穴に向けて
突入してゆく。
ううぅ・・どうして私はココに来たんだろう?
今日は、何曜日だっけ・・?
「
ちょこっとだけ痛いですからね」
好きな食べ物はなんだっけ?
ベロンベロンに酔っ払ってくれば良かったかな・・
眠る以外に、人は、
意識的に記憶をなくせ無いないものだろうか?
「はい、終わりましたよ」
『えっ、もうですか?』
一瞬にして終わったような気がした。
時計を確認すると、手術室に入って出るまで、
30分が経っていた。
私は、意識的に記憶をなくすスベを身に付けたらしい。
痛くなかったですよ、倉田先生。
ありがとうございました。
さて、イビキやいかに!
なぜかスギナ