「ロクジ サンジュップンに設定されました」
ホテルの受話器の向こうで、女性の機械的な声が喋っている。
ホテルに泊まって、朝のモーニングコールを設定した覚えある?
枕元のデジタル式の奴は、ちょいと不安だよね。
夜中に指先が何の気なしに触っただけで、解除されてしまう。
そこで、やはり、
電話で自動的に申し込む奴だ。
え~と、ここは、
何番に申し込むんだろう?
良心的なホテルでは、電話の横に、明記してある。
でなければ、残念ながら、
分厚いホテルの利用要綱のページを繰らなければならない。
え~とえ~と、あった、51番だ。
まず、51番を回す。
(
回すと言ってしまった、
押すだ)
0630 と押す。
すると、冒頭の女性の声が聞こえてくる。
これで、受話器をおろせばいい。
コール解除するには、52番だと書いてある。
ところがだ・・
この数字は、このホテルに限ったルールなのだ。
別のホテルに泊まれば、ルールが違う。
81番だったり、9番だったり、
ありとあらゆる数字を示唆してくる。
その都度、
分厚い利用要綱を、ツバつけながら、捲らなければならない。
ツバだらけの要綱に、ツバをつけなければならない。
なぜ、統一しなかったんだろう。
多分、
その気がなかったに違いない。
利用者の寝坊の世話まで、気が回らなかったと見える。
では、今から、
その気になって貰えないだろうか?
全国ホテルサミットが或るのなら、
是非、最優先課題に取り上げて貰いたい。
なぜなら、あのツバ付け行為の時ってのは、大概の人は、
フラフラに疲れているか、クラクラに酔っ払っているのだ。
番号が見つからなくて、イライラしているのだ。
先日泊まったホテルでは・・
「すみません、どうしても番号が見つからないんですけど」
『やはり見つかりませんか、では、こちらで入れておきます』
「じゃ、6;30に」
(ん?待てよ・・今、
やはりって、言わなかったか?)