まな板に乗っているこの魚は、<ハコフグ> と云う。
ハコとは、見ての通りの<箱>である。
直方体に近い形をしており、その外皮が、これ又硬い。
コチンコチンで、包丁でも容易に傷つけられない。
その硬い外側の皮にだけ、わずかに毒が含まれている。
内部は安心して食べられる。
なぜ、私が今日このハコフグの話をするかと云うとだね。
っと云うより、
今までなぜ、
ハコフグの話をしなかったかと云うと・・
今日、この話を知った方は他言を避けて頂きたい。
後ろを見回して、
誰かがパソコンを覗いていないか、確認をして貰いたい。
では、話そう。
このハコフグ・・
もの凄く美味しいのだ!
オッタマゲーションを幾つも幾つも付けてあげたいほど、
美味いのだ。
腹を割いてみると、内臓は殆んど、
キモである。
体重の半分が、キモだと言っていい。
そのキモを一端取り出し、中を掃除し、
キモをネギと味噌と一緒に、お腹に戻してしまう。
それにニンニクとお酒をたらして、
オーブンで、40~50分ほど、焼くのだ。
オーブンから甘い香りと共に、出てきたそいつは、
最早、日本食とは思えない。
イタリアンの気配を漂わせている。
食べ方は、簡単だ。
スプーンで掬って食べる。
これまで、数少ない友人に振舞ってきたが、
まず、誰もが黙り込む。
やがて・・
「うううぅぅう~~」と唸りだす。
数人で分け合って食べる時は、
それぞれの人格が問われる事になる。
人間性を失ってまでも、皿を離さない輩が現れる。
もう中身が無くなっているのは、理解しているにも拘わらず、
その残骸から目が離せないお方もいる。
我が家で食した、コメディアンの
板尾くんも凄かった。
最後の最後まで、スプーンで掬い、こさぎ、舐め、
寝る前に、残骸を捨てたゴミ箱をあさっていた。
その姿を見て、<ごみ箱>をあさるから,
<箱フグ>なのかと、新説が浮かんだほどだ。
そして、このハコフグは、どこでもここでも売っていないのだ。
いつも、手に入る代物ではないのだ。
どうしても、見てみたいと思われる方は、水族館に行くといい。
ただし、売っては貰えないよ。