<ハコフグ>
昨日、涎ダラダラの話をしてしまった。
そこまで言うなら、食べさせてよ!
という、貴兄、貴姉のお願いを、考み、
つらつら考えていたら、思い出したのだ。
<元祖、ハコフグの店>
そう、アレは、長崎県は五島列島の福江島だった。
その東に位置する福江市に、その店はあった。
元祖と名乗りを挙げるだけあって、店構えは立派だった。
ただし、福江島の中で、立派だったと、注釈をつけよう。
プライベートでふらりと入った私は見つけたのだ。
<ハコフグあります>
すぐに注文した。
しばらくして、そいつは出されてきた。
ん・・?
そいつは真っ二つに、分断されていた。
縦に半分に割られたハコフグが、オーブンで焼かれていた。
食った。
ハコフグの名誉を尊重するならば・・
それなりに美味かった。
しかし、私は、ハコフグに、《
それなり》を使いたくない。
その時、解かったのだ。
ハコフグを私のやり方で、オーブンで焼くと、
長い時間が掛かる。
ところが、料理屋では、客は長い時間、待ってくれない。
「おお~い、ハコフグまだかよ~!」
怒声が飛ぶことになる。
そこで、やむなく、
半分にぶった切る選択をするしかなかった。
美味さを犠牲にしてまでも、ぶった切るしかなかった。
哀れなのは、ハコフグだ。
昨日、ハコフグに毒は無い・・と述べたが、
ここまで、私を惹きつけるコヤツには、
魔性の毒があるに違いない。
食べられた直後のハコフグ