風呂場のシャワーの水量が少ないと、暗い気持ちになる。
「出が悪いなあ」
『チビってるなあ』
溜め息が漏れる。
日本以外の国のホテルでは大概、出が悪い。
では、日本のホテルがどこも良いかと云えば、そうでもない。
そんな折、実は
我が家のシャワーの勢いが無くなった事に気付いた。
水回りに詳しい小林くんに相談したら、
ガスの何とかとやらが、小さいのだと言う。
取り替えましょって話になり、
ちょちょいのちょいと、取り替えてくれた。
で、どうなったか?
なんと、我が家のシャワーは、
恐るべきシャワーに変身したのだ。
バスルームに入り、シャワーのコックを捻る。
この時、何気なく捻ってしまうと、恐ろしい目に会う。
壁に掛かってあるシャワーヘッドが、突然暴れだすのだ。
以前のシャワーが、シャーシャー流れていたのだとすれば、
以後のコレは、
ゴウーーーゴウーーーである。
暴れだしたシャワーヘッドは、のた打ち回る大蛇の首である。
消防車の放水銃を放してしまった時、ホースが暴れ回るが、
まさにアレに近い。
暴れるヘッドを何とか掴み、放水を頭に向ける。
バシバシバシ!
頭に当たった水流が、はじけ飛ぶ!
痛い!イタイイタイ!
とてもじゃないが、数秒も当てていられない。
間違って、顔に当てようもんなら、悲鳴を挙げる羽目に陥る。
余りにもの激しさに、
身体を洗っているのだか、
風呂場自体を洗っているのだか解らなくなる。
この場所が狭い個人風呂だから良いものの、
コレが銭湯だったら、とんでもない修羅場になるだろう。
回り中に放水しまくり、裸の喧嘩が勃発しないとも限らない。
「おお~い、出るぞ~」
と女風呂に叫んだついでに、
ビューっと、山並みの放水を掛けてあげる事だって出来る。
だから、ココゾって時しかコックを捻らない。
従って、水量の割りには、節水出来ているような気がする。