~昨日の続き~
餃子の皮は出来た。
次は、具だ!
しかし、今日は、具をとばそう。
肉と野菜が色々入っているモノを一晩寝かせるとだけ言おう。
さて、餃子の皮を伸ばそう。
昨日、孤軍奮闘してくれたタメトウさんに、
再び汗をかいて貰おう。
まず、寝かせた皮を取り出し、細長い棒状に伸ばしてゆく。
親指ほどの細さにしたモノを,
まな板の上で、包丁で切っていく。
金太郎アメに似たモノが、出現する。
ここが、大切な所だ。
このやや、いびつになった金太郎アメ状のモノを
丸く、
もしくは
円筒状にしなければならない。
この作業をいい加減にしてしまうと、
あとで後悔する羽目になる。
これを小さな麺棒で広く伸ばしていくのだが、
最初の丸が、もし
楕円であれば、
楕円の皮が出来てしまう。
長方形であれば、
長方形の皮が出来てしまう。
つまり、初動が肝心なのだ。
出発点にすべてが掛っていると言っていい。
「うわぁ~又、ダメじゃぁ~」
隣で、皮を広げる作業に没頭しているタメトウさんが叫ぶ。
見ると、皮の形が、いびつだ。
とても丸とは言えない。
せめて、楕円か、四角形ならいいのだが、
どうやったら、そんな形が出来るのか不思議な皮を作っている。
インド料理の
ナンに似ているモノが作られ続けている。
ヒトデ型が並べられている。
「こぉんなン駄目ですかいのぉ?」
広島弁で表現された作品は、
<
ひょっこりひょうたん島>だった。
タメトウさんは、前衛美術家になるべきだ。
私が子供の頃、一家5人でこの皮作りをやった。
父親が末っ子の妹に最初の
丸める係りを命ずる。
『これは、最も大切な役目だぞ!』
とはいえ、餃子造りの中では、最もつまらない作業である。
誰もやりたくないから、みそっかすの妹に割り当てられたのだ。
『おおっ!みちよは、丸にするのが、世界一うまいなあ!』
私の父親は、おだてるのが、すこぶる上手な人であった。
さて、目の前のタメトウさんに目を戻そう。
ふむ・・
相変わらず、
ひょっこりひょうたん島が好きだとみえる。
その横には、ドウナツ型があるではないか。
『穴は、ダメじゃないですかネェ・・』
「ほうかなぁ、やっぱ駄目ですかいのぉ・・」
寂しそうに広島弁でつぶやく。
なんやかんやして、皮が100枚作られ、
あとは、具を詰めるだけとなった。
『え~と、タメトウさん、あとは僕らがやっときますから・・』
「 へ 」
タメトウさん