<チェーンソー>
って、わかります?
電動ノコギリだ。
木を切り倒す時に、大活躍する優れものである。
その分、
私は危険ですよと、大そうな音でアピールしてくれる。
先日、伊豆の山中に、分け入った。
目的は、シイタケのボタ木造りだ。
ボタ木とは、ホダ木とも云い、クヌギやコナラの木を、
山林に斜めに立てかけて、シイタケを栽培するその原木だ。
山に登っていくと、コナラの木が群生している。
直径20~30cm、高さ10数mのコナラだ。
昨年の秋、切っておいた大木が、回りの木に引っ掛かって、
斜めに立っている。
さて、コレをどういう風に切ればいいのか?
最終的には、長さ1mに、切り揃えたい。
チェーンソーを握りしめ、頭に血を巡らす。
もし、下から1mの所にチェーンソーの歯を当てたとしよう。
上手く切れたとして、上部の木は、どういう動きをするだろうか?
それによっては、自分の立ち位置が問題となる。
なんせ、数百キロはあろうかと云う大木だ。
落ち方によっては、
<おくりびと>にお世話にならぬとも限らない。
チェーンソーの使用法として、
すでに真横に倒れている木を切るのは簡単だ。
切った木の動きは単純だから。
真っ直ぐ立っている木も、何とかなる。
倒したい方向に、導いてやればいい。
ところが、私の目の前には、
下をすでに切ってある大木が、
やや倒れて立っているのである。
よし、計画は固まった。
チェーンソーのヒモを引っ張り、エンジンを始動させる。
ケタタマシイ音が、山間に響く。
少なくとも、
イノシシと鹿は逃げただろう。
木の横に、足場を固め、チェーンソーを振り上げる。
木の表面に激しく回転する歯を押し当てた。
ギャャアアアアアア~~ン!!
熊も逃げたに違いない。
私の胴周りほどの幹が、あっという間にせん断されてゆく。
3/4ほど切ったところで、一旦チェーンソーを引き抜く。
覗き込んで、切り口を見る。
ふむふむ、木とは、面積の1/6位が繋がっているだけで、
立っていられるものなんだな。
もう一度、チェーンソーを差し込み、エンジンを吹かす。
ギャャアアアアアアア~~~ン!!
鬼も逃げたナ。
メリメリッ!
やには、裂けるにぶい音がし出した。
やばい・・
私が逃げなくては・・
私の立っている所はかなりの急斜面である。
とっさに飛び退くには向いていない足場だ。
チェーンソーを引き抜き、飛びすさった刹那、
ドスン!
私の横1mに、コナラが突き刺さった。
計画どおりではあるが、リスクが大きいな。
その後、コナラにあらかじめロープを巻きつけ、
木が落ちる方向を限定したのだった。
なんやかや、500キロほどのボタ木を切り出し、
ネコに積み込み、山から降ろして来たのだった。
ふうぅ~、体重2キロ減。