<尾の身>
クジラのオノミというのは知っている。
クジラ料理の中でも、最高と言われている。
そこで今日は、<
マグロの尾の身>の話をしよう。
築地魚河岸の早朝、大騒ぎされるマグロのセリ。
そのマグロがゴロゴロ並んでいる尻尾の部分を見ると、
ナワに繋がった尻尾の部分が転がっている。
切り取られたその縄に繋がった部分は、どうなるんだろう?
っと常々心配していた。
捨てられるのだろうか・・と心配していた。
そこで登場するのが、イシマル行きつけの魚屋<丸新>だ。
三浦半島の先っちょで、釣り人の為にやっている魚屋だ。
釣り人が、思わず釣り過ぎた時に、卸してゆく魚屋だ。
釣れなかった時に、しょうがなく魚を買い求めていく魚屋だ。
釣りにも行く気がなく、ただ買い求めたい魚食好きが
わざわざ買いに行く魚屋だ。
ほんとに旨い魚を仕入れる為に、
遠方から料理屋が仕入れにくる魚屋だ。
釣りに行きたくて行きたくて、行けなかったイシマルが、
クーラーボックスを抱えて、買いに行く魚屋だ。
その丸新の奥のソファーでゴロゴロしていると、
大将が、こいつを焼いてくれる。
<尾の身の干物>
こいつは、絶品である。
本来、マグロの捨てる部分が、大変化をして、
ハグハグ系の珍味になっている。
なぜ、コレが、売り物になっていないのかが不思議なほどだ。
大将がどっかから、この尾の身をさらってくるのだ。
それをおばちゃんが妖しい汁に漬け込み、
天日で干し、
ストーブで焼く。
「こげな旨かともん、知らんとじゃ!」
『ふん、また大袈裟な・・』
おばちゃんは、常に、平常心なのであった。
イナダ