「捕れたよ~!」
イシマル探検隊の隊員レン君が、抱えているのは、
<雉(
きじ)>だ。
イシマル探検隊は、よく伊豆に行く。
山の中に、親戚の家があるのだ。
さて、隊員の言によれば、
ドガンっという音に、上を見上げたら、キジが家の窓にぶつかり、
落ちてきたんだソナ。
助けようとしたのだが、その甲斐なく昇天したんだソナ。
見ると、重量1キロちょっとの
メスである。
「捕れたよ~」
その言葉を聞いた途端、即座に私の頭の中に、<鍋>が出てきた。
「キジだよ~」
っとくれば、迷わず<キジ鍋>である。
ゴクンっ
ノドボトケが上下する。
『よおし、今夜は
キジ鍋だぞ~!』
っと大声を出そうとしたその時、
隊員のレン君が、ポロリ。
「お墓を造らなきゃ」
え・・? ・・ん?
そ・そうだね、やっぱ
お墓だね・・
隊長として、隊員の、人間としての純粋な意見に耳を傾けた。
腹を満たす・・ならいざ知らず、
舌の欲求に負けて、哀れな野鳥に舌鼓を打っていいのか!
いいのか!
結果、
隊長と隊員は、スコップで、土を掘り、
<キジのお墓>を拵えたのだ。
参加した皆で、お祈りをしたのだ。
合掌・・
隊長の私が、送りの言葉を述べる。
『~大空を自由に飛び、大地を好き勝手に走り回ったキジ君、
君の最後を僕らは、知ったよ。君の羽にも触ったよ。
美しさを写真に収めたよ。食べたかった人(私)もいたけども、
我慢したらしいよ。
君のおかげで、隊員達が、
キジが
日本の国鳥である事を知ったよ。
どうぞ、安らかに眠りたまえ・・アーメン』
3才の隊員「イシマルしゃん、アーメンって何?」