<ヤモリ>
漢字で書くと、たぶん<家守>、と思ったら、正解は、
<守宮>
家に巣食っているいる小さな虫を食べてくれる大切な爬虫類なので、
ヤモリと云う名前を付けられた。
実は、私はこの
ヤモリに
人生の軌道を狂わされたのだ。
「まあたイシマルさん、大袈裟なことを」
と思われたアナタ。
人生の岐路とは、どこに転がっているかも、解らんのですぞ!
ヤモリが人生を狂わす・・
それは40年も50年も前の話です。
幼少のけんじろう君が、勉強机の前に座っている。
大分県の田舎だ。
夜になると、町中の灯りが消え、
町中の音が聞こえなくなる日本を代表する<田舎>だった。
主人公は、都会の方が見た事がない
ヤモリです。
その昔の夜、
勉強熱心とは、ほど遠いけんじろう君は、目の前の窓を見た。
おおっ、ヤモリが張り付いているではないか!
そのヤモリの前方には、蛾が、留っている。
ふ~む、
あの蛾を狙っているのだな。
ここから、けんじろう君の観察が始まる。
ヤモリが蛾を捕獲するまでの一部始終を観察する事になる。
で、ここで、あなたに質問です。
ヤモリを見た事あります?
あると答えたあなた、ヤモリの動きを見た事あります?
あると答えたあなた、ヤモリが
動いた瞬間を見た事あります?
あると答えたあなた、ヤモリが
虫を食べた瞬間を見ましたか?
見たと応えたあなた! あなたは、私の同士です。
握手をしましょう。
あなたもきっと、勉強を犠牲にした一人でしょう。
窓に張り付くヤモリは困ったもんだ。
何分でも動かない。
目標物に顔を向けたまま、忍者の如くジットしている。
ジリ・・・・・・
ジリ・・・・・・・・・
<だるまさんがころんだ>
どころではない。
<坊さんが屁をこいた>
どころではない。
ヤモリはジッと動かない。
肝心のけんじろう君は、うわ目使いにその窓を見ている。
(そう云えば、明日、中学の期末試験があるよな)
しかし、けんじろう君の目は、ヤモリの動きから離れない。
だってネ、
虫を捕まえた瞬間を見逃したら、悔しいじゃ~~~ん!
かくして、けんじろう君の成績は激落ちしていったのだ。
当然の如く、進路が決まったのだ。
「末は博士か大臣か」と言われた貴重な人材が、
ヤモリのセイで、ガラガラと蹴落とされたのだ。
小学校の頃、郡一番のIQの持ち主と騒がれた神童が、
ヤモリの動きに幻惑され、
人生を狂わされたのである。
教育ママに言っておきます。
子供の勉強部屋に窓を作ってはなりませヌ!
窓があったら、すぐにカーテンを引きましょう!