
ただただ広い体育館
《テスリをしっかりつかんでお立ち下さい》
エスカレーターに乗ると、脇の壁に張り紙がしてある。
掴むのネ。
そうね、なんかあった時、危ないもんネ。
掴んでようネ。
東京では、左側に立つ習慣があるので、
左手で、掴む。
ふむ、ここまではいい。
さて、もしこの左手で
掴み続けていたらどうなるか?
例えば、仮に、左手をガムテープで、
テスリベルトに張り付けたらどうなるか?
あなたは銀色の階段に立って、じっとしている。
ところがだ!
左手は少しづつ前に進んでゆくのだ!
階段より、ベルトの方が、ややスピードが速いのだ!
従って、ガムテープで固定された左手についていく為に、
あなたは、階段をジワリジワリと登らなければならない。
登らない場合は、やがて手がノビきり、
選手宣誓のような形になり、ついには、バタリと倒れるであろう。
何故だか解らないが、
エスカレーターの階段とテスリベルトのスピードは、
同調していないのである。
以前この事に気づいた私は、エスカレーターに乗る度に、
スピードをチェックしているが、
どのエスカレーターも、同じ現象が起きている。
ベルトの方が、少しだけ速い。
《ベルトにおつかまり下さい》
の注意書きを誠実に守ってきたと思っているあなたは、
実は、持った手を少しづつ、少しづづ
持ち替えて送っているのである。
その事に気づいていないだけなのである。
これは、下りのエスカレーターでも同じ、
歩く歩道などもしかりである。
ウソだとお思いの方は、今すぐデパートに走りなさい。
何事も検証が必要です。
ガムテープも持って走りなさい。
ただし、私にそそのかされたとは、決して言わないように・・