<リクライニングマッサージ>
と書いてあった。
いつも行くスパにそのマッサージ室はあった。
わたくし、マッサージが不得意だ。
不得意というのは、
するのではなく、
されるのが。
生まれてから、お金を払ってマッサージを受けた回数が、
まだ、10回に達していない。
前回いつ受けたか、記憶がない。
何年か前だと思われる。
そんな私が、ふと、スパにあるマッサージ室に足を踏み入れた。
「一時間コースお願いします」
決死の覚悟だった。
いきなりうつ伏せにされた。
顔のところに穴が空いているベッドだ。
(ふむ、穴の下に床が見えるな)
首やら、背中やらを、マッサージ師(以下師)が揉んでゆく。
問題は、<脇の下>だ。
脇の下は私の急所だ。
そこに触られると、悲鳴が挙がる。
くすぐったがり屋のアキレス腱と言ってもいい。
徐々に、その
脇の下に指が近づいていく。
揉んでいる方にとっては、どうでもいいのだろうが、
揉まれている私には、その指の動きが、怖い。
いつ悲鳴を挙げてもおかしくない。
(ああ~だめぇ~)
っと、うまいこと、指が脇の下を通過してくれた。
しかし、コノ程度で、1時間コースは許してくれない。
そのすぐ後に、恐ろしい場所が待っていた。
<脇腹>
カタカナで書くと、ワキバラ。
私のとって、超のつく敏感な場所である。
アクシデントで、人の指が触っただけで、
悲鳴を挙げる場所である。
生涯、人に触られたくない場所である。
その核心に師の指が、ムズムズと近づいて来た。
グイッ!
触れた!
その瞬間、私の身体がビクンっと反応する。
すると、マッサージ師は、はは~んと気づく。
「ここを押すと、
痛いのだな。
ここを
重点的に押して欲しいのだな」
合点だ!とばかり、ワキバラを攻めてくる。
グイグイっ!
『ああ~ふぇえ~』
私の身体はビクンビクンっと跳ね返る。
「おうぅ合点だ!」
グイグイっ!
『ぎゃあっふぇ~ふぃ~』
私の身体がのたうち回る。
良かれと思っている師・・
息も絶え絶えな私・・
そして、この二人の戦いは、
こんなレベルでは終わらなかったのだ。
シーユーツモロー
仙台にある撮影所の庭