舞台の上で、本番中にセリフを忘れる事がある。
いわゆる、
真っ白になるというヤツだ。
これは、事件だ!
舞台が上演されていて、突然セリフが止まったとする。
3秒意味の無い間があけば、疑いなく誰かのセリフ忘れである。
5秒、間があけば、お客全員が気づく。
10秒、間があけば、お客がざわつき出す。
15秒以上は事故である。
舞台ソデから、スタッフのプロンプの声が聞こえたりする。
上演中止となる事もないではない。
そのとき、
次のセリフが自分であるという事実だけ解っている。
しかし、何であるか、全く解らない。
ヒントすら浮かんでこない。
相手役は、私を見ている。
(オマエの番だ)
と睨んでいる。
客が私を見ている。
(アナタよ)
と促している。
何だっけ?何だっけ?
目が宙を彷徨いながら、瞬きも呼吸も止まったままだ。
コノ瞬間、
脳みそがもの凄い回転を始める。
どこに、そんな能力があったのか・・
と疑いたくなるほ程の回転だ。
頭回転計測器というものが有るならば、是非計ってみたい。
通常生活時の、10倍、
いや100倍の速さで回転していると思われる。
それが、証拠に、全く忘れていたセリフが、
ポンっと、出てくるのである。
芝居は何事もなかったかのように、続く。
真っ白により止まっていた時間・・2秒。
たった2秒に過ぎないが、本人にとっては、
1分くらいに感じている。
さあ、ここに、
100倍の回転をすることが出来る私の脳みそがある。
そのみそを、意識的に動かせたら、いいのにな!
いつでも自由に100倍で使えたらいいのにな!
セリフを忘れた時にしか使えない・・
なんて勿体なくありません?