犬に鏡を見せると、ワンと吠える。
しばらく吠えた後、鏡の裏側に回り込み
クゥゥンと哀しい鳴き声を出して、戻ってくる。
猫に鏡を見せると、「シュゥゥ」と威嚇の息を吐く。
映る我が身をチラチラ見ながら、
やがて、無関心になり、ドタンと寝そべる。
街をフラフラしていると、肉屋があった。
大盛況の肉屋であった。
理由は、肉の種類と量が多い。
外の看板に、<肉の問屋>と銘打っているだけの事はある。
混雑しているにも関わらず、並ぶ必要はないようだ。
人垣の隙間に入り込み、ショーケースを覗きこむ。
うわ~いっぱい旨そうな!
アレにしようか?コレにしようか?
次から次に現れる珍しい肉塊に、涎を流している時に、
ソレは起こった。
「おほ~あの肉の先にある肉は何だろう?」
勢い込んで、ショーケースの先を覗きこむ。
ん・・? アレ?
先が無い。
今の・・鏡?・・だったの?
(冒頭の写真)
身体を傾けて
首ごと覗きこんだ私の姿を、
回りの人達に見られてしまった。
顔が真っ赤になった。
猿に鏡を見せると、キィィーと叫んで、歯をむき出し、
すぐに、裏側に回って、目をしばしばやり、
回りの人間の反応を窺うらしい。

馬刺し