<砂風呂>に入ったことある?
鹿児島の指宿(いぶすき)の砂風呂は有名だ。
実は、大分県の別府の海岸にも砂風呂がある。
<上人が浜>(しょうにんがはま)という海岸にソレはある。
砂風呂とは、
温かい砂で、体を蒸して温めるサウナと考えた方がいい。
だとすると、
「何も砂じゃなくていいじゃないか」
と云う意見も出てくる。
「いやいや、あの
重さがいいのだ」
と云う意見がもっぱらの大勢を占めている。
どうも、
温かさには、
重さが関係しているのではないだろうか?
その昔、
ポーランドのノーベル物理学者、
キュリー夫人が、
こんな事を言っていた記憶がある。
《寒い時、体の上に重たいモノを乗っければ、暖かくなる》
(間違っていたらキュリー夫人ごめんなさい)
そして、その実験をしたと語っているのだ。
それを読んだ
20才のイシマルは、すぐに実験にかかった。
暖房の無いアパートで、センベイ布団にくるまっていたイシマルは、
布団の上に、ミカン箱や、テーブルなどを乗っけたのである。
足元には、小さな冷蔵庫も斜めに立てかけた。
隙間には読み終わった本を詰め込んだ。
じっと寝ている。
ただただ、息をひそめている。
うむ・・確かに少し暖かくなった。
なったが、眠れない。
重い・・
息が苦しい。
いやいや、キュリー夫人は、物理学賞だけでなく
ノーベル化学賞も受賞しているんだぞ。
ガマンガマン・・
うとうと・・・うとう・・・
はっと目が覚めた・・
胸が重い。
波の音・・・
そうか、ここは上人が浜の砂風呂だった・・
キュリー夫人の実験を思い出しながら、もう一つ思い出した。
別府市の、この上人が浜で、私は生まれたのだった。
産湯が、この辺りの温泉だった。
もうひとつ思い出した。
温かさと重みに関係は無かった、
と夫人は実験後に語っていたような気がする。