
「バナナ、観るかい?」
南の島をチャリで流していたら、
歩いていた島の古老に誘われた。
「バナナは
一年草じゃサー」
ひえ~そうだったんだ!
たまげてしまった。
一年で、大きな房の実を成らせ、やがて枯れるのである。
『枯れたらどうなるんですか?』
「その横から、又、生えてくるんじゃサー」
『ほっといても、毎年生えてくるんだ』
「なあんもせんヨ」
『いいヤツですネ』
「食いきれんヨ」
『でしょうね』
「これ食うかい?」
『パッションフルーツじゃないですか?』
「そこに、勝手に成ってるサー」

見ると、勝手に成っている果物ばかりで、家は取り囲まれ、
ジャングルと化している。
「ここで、遊んでるノ」
『遊んでるんですか』
「そ、これが私の遊び」

古老は、
遊ぶと云う。
昨今、子供以外は使わなくなった言葉・・
遊ぶと言う。
「ここに、鳥たちが集まる場所を作って遊ぶのネ」
「夏熱い時は、この洞窟で寝ると涼しいヨ」
「夜中に、大きな魚が釣れるヨ、」
「美味しいモノが夏にはいっぱい採れるヨ、」
「だから、夏に遊びにおいで」
ふ~む、遊びに来るかあ~