「イシマルさ~ん、出番ですよお~!」
助監督が、すっ飛んでくる。
ドラマのロケ中だ。
ロケとは、お日様との戦いだ。
早朝から、夕暮れまで、日の長い時期で、14時間、
短い冬は、9時間しかない。
その間に、大量のシーンを、
一気に撮り挙げなければならない。
<寸暇を惜しむ>という言葉が、現場を包んでいる。
先日のロケは、救急車出動のシーンだった。
パニックになっている100人以上の患者達を、
救うシーンだ。
誰がどう考えても、時間が掛かる撮影になる。
スタッフは、常に走り回っている。
監督の怒鳴り声が、響き渡る。
夕方になり、日が傾いてきた。
撮影は、いよいよ急ピッチになり、
「まだ、日は沈まぬ!」
走れメロス状態になってきた。
(おお~いい日加減じゃないか・・)
イシマルは、陽だまりを見つけては、写真に興じていた。
「イシマルさ~ん、何やってんですか!出番ですよ!」
助監督が、眉を吊り上げ、息を切らしている。
『ごめん、探した?』
「いいから、お願いします」
『ねえねえ、
コイツラと一枚シャッター押して呉れる?』
「
日が落ちるんですよ!」
叱られてしまった。
ロケは大変なのだ。
それでも、彼は、シャッターを押してくれた。
ありがと。
パシャリッ
コイツラ