
私の目の前のテーブルに、
ヤスタニさんがいる。
ビールジョッキをあおっている。
私の隣の椅子に
大畠さんがいる。
赤ワイングラスを傾けている。
ここは、イタリアンレストランだ。
そう、私達3人がいるレストランは、伊豆の真鶴半島にある。
二人が、満面の笑みで私に向かって、グラスを差し出す。
カンパイ!
さあ、さっしの早いアナタは、もうお分かりですね。
やったのだ!
ついに
成功したのだ!
《相模湾横断ウインドサーフィンチャレンジ》
三浦半島から、伊豆半島までウインドサーフィンで行こう!
3人で話し始めたのが、2年前。
昨年の5月に、チャレンジしたものの、
途中で風が無くなり、断念。
以来、さ迷えること1年間。
チャレンジには、
5つの条件がいる。
<3人のスケジュール>
<伴走船のスケジュール>
<最適な風>

一昨日の朝、ついにその日がやってきた。
三浦半島の水戸浜に集合した3人は、
まず、腹ごしらえをする事になった。
それぞれ、どこかで買い求めてきた食糧を取り出す。
私は、セブンイレブンで、
稲荷寿司セットとやらを買ってきた。
ところが、それを見たヤスタニさんが驚きの声を挙げる。
「おんなじだあ~!」
違うセブンイレブンで、
同じ
稲荷寿司セットを買ってきていたのだ。
あまりの偶然に、ピースサインなどを出していたところ・・
っと、隣に座った大畠さんが、ポツリ。
「ボクも、おんなじだあ~!」
稲荷寿司セットを取り出す。
なんと、3人が3人とも、同じ
稲荷寿司セットを、
違うセブンイレブンで仕入れてきたのだ。
何十とある弁当類の中から、たった一つを選んだのだ!
驚くべき確率!
何と云う偶然!
何と言う吉兆!
これから向かうチャレンジにふさわしいチームワークではないか!
ちょっと気持ち悪い、仲良しではないか!

空は快晴、トンビがピーヒョロロと鳴いたのが、12;00。
そよそよと、空気が動き出した。
待望の南風が、沖合いから、爽やかな汐を運んでくる。
水戸浜漁港に横付けされた、
伴走船の一休丸、星野船長の元に集まり、
横断作戦の最終打ち合わせをする。
ルール説明、フラッグの解説。
「いくぞ~ゴ~!」
円陣を組んでの、掛け声はバラバラだった。

陣容が決まった。
☆選手
イシマル、ヤスタニ、大畠。
☆伴走船
星野船長
息子の拓也くん
ナカヒラ君(アドバイザー)
依田さん(助手)
立川くん(VTRカメラマン)
☆陸上員
ヨウコ
いざという時には、
ナカヒラ、依田両名がピンチヒッター・・と決まる。
13;10 私の瞳の中でZ旗が挙がった!
出発の合図をする。
直線距離
45キロの横断が始まった・・
3人足して、
164才の夢が動き出した・・