
~昨日の続き~
13;10に三浦半島を離れた我等3人。
違う言い方をすると、日本国を離れた3人。
目指すは、伊豆半島まで、直線距離で
45キロ。
予報では、南の風4m、のち、南南西の風6~8m。
ここで、ウインドサーファーの為に、道具の説明をしよう。
セール
3人とも、、リバティセール セブン(ノンカム)8,5㎡
ボード
大畠 131ℓ
ヤスタニ 123ℓ
イシマル 108ℓ
ウインドサーフィンを知らない方に説明すると、
自分が持っている
最大の道具でエントリーしたワケだ。
微風には強いが、強風には弱い道具と言える。
岸を離れて、500mもすると、
風が
順調に入りだした。
ウインドサーフィンで、ヨロヨロと走らずに、
海上を疾走する状態を《プレーニング》と呼ぶ。
今、
順調と言ったのは、プレーニングし出したと云う意味だ。
プレーニングを始めると、最低でも時速20キロ以上になる。
海面状態が良ければ、40~60キロほどのスピードが出る。
さて、15分が経った。
3人はあっと云う間に、
三浦半島が遥か彼方に見える所まで来た。
っと・・突然、風がパタリと止んでしまったのだ。

プレーニングは止み、スピードは、時速4キロ。
なんと云う事か!
昨年の敗北が潮だらけの頭をよぎる。
「又しても、失敗なのか・・!」
(いやいや、我々には、
稲荷寿司セットの強運があるではないか!)
ネバーギブアップ!
の掛け声と共に、伊豆半島を目指す。
ふと、下を覗くと、水の色が藍色だ。
確か、海図では、水深1000mを超えていたナ。
サメとかいるんだろうナ。
この辺りは、カジキマグロがウヨウヨいるらしいナ。
パシャッっていったのは、トビウオだナ。
何に追われて跳び出したんだろうナ。
大王イカかナ。
鯨はいないかナ・・
オルカとか現れないだろナ・・
ココは、もう外洋と言っていいんだろうナ。
30分も、微風の中を漂っていただろうか・・
次第に風が強まってきた。
3人が、満を持していたかのように、セールに風をハラミ、
疾走を始める。
ポートタック(左肩が進行方向を向いている)のみの走りである。
必然、右足に負担が掛かる。
右足のフクラハギが、ヒーヒー悲鳴をあげだす。
ウインドサーファーに尋ねたい。
これまで、片側プレーニングで、
10分以上走った事がありますか?
20分以上はありますか?
我ら3人は、それを3時間以上やろうとしているのです。
一人は、ウインドサーフィンのメーカーの社長、ヤスタニさん。
この日の為に、プールに通い、筋トレにも励んできた55才。
お次は、ウインドサーフィンがやりたくて、海の目の前に
病院を開業した医者、大畠さん、52才。
甘いものを絶って、ベルトの穴を3センチ縮めてきた。
そしてわたくし、イシマル56才。
前日、眠り貯めとばかり、12時間の爆睡をしてきた。
そんな3人のフクラハギが、泣き始めている。
江ノ島沖、15キロの海上を過ぎた辺りから、
風が風力を増してきた。
それまで、追いついてきていた伴走船が、
後方に離され始めた。
風が強くなり、海が荒れ始めると、漁船より、
ウインドサーフィンの方が、速いのだ。
そこで、最初の休憩を取る事にする。
その判断が、あとあと、正解だったと思い知るのである。
横断記も、休憩をとる事にする。
又、明日。
明日はいよいよ、最終章。