<校長宿舎> と表札に書いてある。
~大分県立大分上野が丘高校~
私の母校である。
学校のすぐ脇に、
校長先生がお住まいになる宿舎があるのだ。
150坪の敷地に、
40年以上前に建てられた平屋建ての家があった。
今では、誰も住んでいないらしく、
売りに出されている。
その昔、そこに住まわれていた我らの校長が、
面白い人だった。
初めて、ヨーロッパに海外旅行に行った校長。
帰ってくるや、校内放送で、その感想を語り始めた。
興奮している様子が、
スピーカーから飛び出る言葉にうかがえる。
「え~それから、
ローマに行ってぇ、
その後、
イタリアに行ってぇ~」
全校生徒が、どっと笑った。
校長は、ローマを国と考えていたようである。
あるいは、イタリアを都市を思っていたのか・・
憎めない校長を学校の横に住まわせながら、
我らは登校していたのだが・・
実は、イシマルはその校長宿舎のすぐ傍の家に、
下宿していたのだ。
夜になると、下宿を抜け出し、
校庭で遊んだりしていたのだ。
そんなある夜のこと・・
校庭を横切ろうとした時、何やら不穏な音がする。
ジョボジョボジョボジョボ真っ暗な中、音のする方に向かうと、
一人のおっさんが、
グラウンドに立小便をしているではないか!
そして、そのおっさんが、小便を終わり、
向かった先が、件の宿舎だ。
オオマイゴット!
われ等が校長先生が、われ等が校庭で、
立小便をこいたのだ!
次の日から、16才のけんじろう君の攻撃が始まった。
「水分を取り過ぎないように、しましょう!」
宿舎の塀の周りで、シュプレヒコールを挙げるのだ。
「立小便は自宅の庭でしましょう!」
登下校のたびに、大声をあげる。
「広い校庭が、便器になりましたあ!」
全く反応がない・・
しかたなく、宿舎の塀に、
ジョボジョボジョボジョボ・・・