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龍泉洞 神秘の泉
龍泉洞 神秘の泉_e0077899_8151857.jpg
龍泉洞 神秘の泉_e0077899_8153949.jpg
「さ、登ろう!」
『えっ、このゴムボートの上から?』
岩手県、龍泉洞の地底湖の湖上にいる私は、
思わず、頭上を見上げた。
真っ暗な穴ポコが、上に続いている。
ヘッドランプを向ける。
しかし、光が届かない。
『高いんですか?』
「60mほどの竪穴だけど、半分ほどで横穴があって、
そこをトラバースして下さい」
喋っているのは、ケービングイントラだ。
気軽に仰るが、何たって、水深98mの地底湖に浮かんだ、
ゴムボート上からのトライである。

よいしょっ!
8ミリの細いフィックスロープに器具を装着し、
懸垂登攀にかかる。
直径3mほどの縦穴をジワリとよじ登ってゆく。
時折、下を見下ろすと、
ゴムボートが空中に浮いているのが見える。
水の透明度があまりにも高く、湖面が見えないのだ。
つまり、水が全く見えなくなっている。
空中に浮いている。

やがて、辺りが、暗闇に包まれる。
我がヘッドライトの明かりが、照らした部分だけが、光る。
上部にチラチラと光が見える。

ん・・? そうだった、コレは、撮影だった。
あまりもの刺激的な環境に、
テレビスタッフの存在を忘れていた。
先頭は私ではなかった。
先頭はいつも、カメラマンである。
山岳ドキュメントでも、先頭には、カメラマンがいる。
カメラマンとは、偉大な冒険家である。

ついに、テラスに立った。
人が二人しか立てない広さだ。
その先を明かりで照らしてみる。
ドクンっ!(これは心臓の音である)
真っ黒の穴ポコが地球の底に向かって、空いている。
直径3m。
ゴクンッ(カメラマンの唾を呑む音である)

冒険小説では、この穴ポコを滑り落ちたりする。
パラシュートで飛び降りたりしている。
落ちたあげく、「ああ、痛かった」とか言っている。
アホか!
落ちれるものなら、この黒い穴に落ちてみい!
深さわからんのやゾ!

「はい、降りてください」
無線の声が響く。
落ちるんじゃなく、降りるのネ・・ロープでネ。
<懸垂下降>という手法。
007の映画などで、ヘリからロープで降りる・・アレね。
足の下をヘッドランプで照らすものの、
光が闇に吸い込まれ、何も見えない
ここまで暗いと、高所恐怖症の人でも大丈夫かもしれない。

7~8階建てのビルの深さを降りただろうか。
突然、新たな地底湖が現れたのである。
ほとんど人の目に触れていない、神秘の泉である。
『水深、どれくらいあるんですか?』
無線機が応える。
「120m」
ひえ~~~!
『落ちたら、やばいですよネ』
「考えるのやめましょう」
『ここに潜った人もいるんですよネ』
「私です」
ひえ~~~!
『ボクも潜れますかネ?』
「ひえ~とか言っているうちはダメです」
ひ・・・
龍泉洞 神秘の泉_e0077899_8144722.jpg
 穴の遥か上方にヘッドランプを点けた私が見える(真ん中)
by ishimaru_ken | 2010-07-05 08:17 | 仕事
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