そこは、本栖湖だ。
ウインドサーフィンで、疾走していると、
突然、虹が現れた。
くっきりとしたアーチが、我々の頭上に、
美しいカーブを描いている。
、先ほどから、霧状の雨が、吹きつけているのは感じていた。
傾いた太陽もカンカンに照りつけている。
虹が出るには格好の条件が揃っている。
アーチが現れると、皆が思う。
「あのアーチをクグレないものだろうか?」
虹とは、自分の目と、雨粒の関係であるからして、
クグルのも、近づくのも出来ないのは解っているのだが、
クグリたいと思う。
思って、やはり実行にうつす。
無駄だとわかっているのだが、虹に向かって高速で突っ走る。
そこで、面白い現象が起こった。
<
虹に突っ込んだ>のである。
んなバカな!
と思われたアナタに、言いたい。
そこは、標高1000mの湖である。
霧雨は相当細かく、風で流されている。
そこに横から、ギンギンの太陽の光だ。
そして、突っ込んでいくのは、
時速50キロを超えるスピードのウインドサーファーだ。
私の回りに、霧が飛びすさぶのが感じられる。
虹が、水面から突き立っているのが見える。
おお~突っ込むぞ~!
近づく!
少しづつ虹が逃げてゆく・・
っと、何かの拍子に、
虹が、ゆらりと近づいたのだ。
霧の濃さだろうか?
粒子の細かさだろうか?
何がしかのレンジ効果だろうか?
一瞬の事だったが、私は
虹にぶつかった!
・・と思った。
が、その次の瞬間、虹は遠くへ逃げていった。
ウインドサーフィンは、強風の中を走っていると、
自ら、水しぶきを巻き上げる。
その霧もお手伝いしたのだろうか。
自然は、一瞬の錯覚で、私を浮かれさせたのかもしれない。