今日は、こんな事をしてみよう。
<詩の朗読>
詩を読むことがある。
目で読んでいる。
「ほ~ん・・」
これは感想である。
「ふ~~ん」
これも感想である。
目で読んでいると解からない事もある。
「そうなんですよ」
ミュージシャンで俳優の岡田浩暉(
おかだこうき)が、
芝居の楽屋で、つぶやく。
「以前、歌詞をネ、目で読んだのと、声を出して読んだのとで、
まったく違う感覚になった事があるんです」
ほんじゃやってみよう!
そこで、詩をちゃんと声を出して読んだら、
どうなるだろうか?
今日は、そんな実験である。
まず、谷川俊太郎さんの、この詩を目で読んでほしい。
そのあと、
周りに誰もいないのを確かめて、
声を出して読んでみよう。
アナタが13才になったと思って読んでみよう。
<ぼく>の部分は、<わたし>でもかまわない。
<春に>
谷川俊太郎
この気持ちはなんだろう
目に見えないエネルギーの流れが
大地からあしのうらを伝わって
ぼくの腹へ胸へそうしてのどへ
声にならないさけびとなってこみあげる
この気持ちはなんだろう
枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく
よろこびだ しかしかなしみでもある
いらだちだ しかもやすらぎがある
あこがれだ そしていかりがかくれている
心のダムにせきとめられ
よどみ渦まきせめぎあい
いまあふれようとする
この気持ちはなんだろう
あの空のあの青に手をひたしたい
まだ会ったことのないすべての人と
会ってみたい話してみたい
あしたとあさってが一度にくるといい
ぼくはもどかしい
地平線のかなたへと歩きつづけたい
そのくせこの草の上でじっとしていたい
大声でだれかを呼びたい
そのくせひとりで黙っていたい
この気持ちはなんだろう
本番前に客席でたたずむコウキ君