「そうなのよねえ、
アナタ」
「そしたらどうなったと思います、
アナタ」
「
アナタ~そりゃビックリよ~」
誰が喋っていると思います?
オバチャンです。
ボクの知ってるオバチャンは、会話の接頭か末尾に、
<アナタ>を付ける。
オジチャンで付ける方には、お目にかからない。
おしなべてオバチャンは、アナタを付けたがる。
たがってはいないかもしれないが、
ご自分でも付けたつもりがないのに、付いてしまう。
興奮して喋っていると、エスカレートする。
「それがアナタ!
誰とアナタ会ったと思いますアナタ!」
オバチャンの前には、アナタしか立っていないのだが、
アナタに、頷いて貰いたい気持ちが、
アナタを連発させる。
そう云えば昔、
<あなたのブルース>ってのが、はやった。
「♪~あなたあなたあなたあなたあ~なた~♪」
アノ歌は、オバチャンの欲求に、
見事ヒットしたのかもしれない。
オバチャンの優秀なところは、
このアナタを、
使い分けないところだ。
相手が、オジチャンだろうが、おにいちゃんだろうが、
女子生徒だろうが、すべてアナタで押し通す。
二人称の究極の使用例だと言っていい。
だから、オバチャンの井戸端会議が始まると、
アナタの大合唱となる。
日本語が解らない外国の方を連れてきて、
日本のオバチャンの真似をさせたら、
きっと、アナタのブルース、そっくりになるだろう。