今日から、ウインドサーファーにのみ、
語りかけている話をしましょう。
ウインドサーファー以外には、
チンプンカンプンの話をしましょう。
もし解りたいと云うアナタは、懸命に努力して、
「こいつら馬鹿かい!」と蔑みながら、
読み飛ばして頂きたい。
ポンポンビーチには、舟で渡らなければならない。
人が全く住んでいない無人島である。
人どころか、何もない島なのだ。
夏こそ、観光用の臨時建物が建つらしいが、
風が強くなると、すべてを撤去して、ただの砂洲になる。
砂と海水と風しかない島に変貌する。
その砂漠のような砂洲に、10キロほど離れた港から、
渡し舟が出船する。
船首に、我々の200キロの荷物が積み込まれる。
ウンセ、ウンセ
いざ、出発!
風速10mを超える海面を走ること、20分。
目の前に、砂洲が見えてきた。
桟橋もハシケもない。
どうやって、上陸するのか、いぶかんでいると、
船長はそのまま舟先を砂洲に、乗り上げた。
ザザ~~
船首から、梯子を下ろし、荷物を降ろしてゆく。
ウンセ、ウンセ
ズズ~~
あっという間に、舟は去っていった。
我々と、大きな荷物が5つ、無人島に取り残された。
一瞬、リュックの中に納めてある、
昼飯と水のペットボトルに思いを馳せる。
「捨てられた」
そんな言葉が、胸にひろがった。
「置き去りにされた」
口に出して呟いてみた。
さほど、島は荒涼としていた。
だが、美しかった。
海の青と、空の群青と、薄茶色の砂しか見えない世界が、
ここにある。
砂に刻まれた足跡は、我々のものだけだ。
武者震いして、奇声をあげた。
「よお~し、みんな!まず、野ションをしよう!」