「台湾に行ったら、是非、ナベを食べなさい」
台湾通の友人に勧められていた。
夜、ポンフーの街中を歩いていると、
もうもうと、湯気のあがっている店が現れた。
<
石頭火鍋>
入口に大書してある。
ガンコおやじの火鍋だろうか?
壁にもどこにもメニューというモノがない。
隣の家族が食べている鍋を指さし、
注文をする。
「同じモノを同じだけ」
5人で2人前で十分だと、理解した。
しばらくの間、持ち込んだビールで喉をうるおす。
そう云えば、食事処で、お酒を置いていない店が多い。
紹興酒はおろか、ビールすらない。
夜、食事に出かける時には、まずコンビニに立ち寄り、
お酒類を買い求めなければならない。
であるからして、酒持ち込みOKなのだ。
こそこそ店主の顔をうかがいながら飲むのではなく、
堂々と持ち込んで、ガバガバ飲むのである。
店によっては、グラスすらない所もある。
誰かが、紙コップを買いに走ることになる。
ポンフーに来て、最初の夜には、<紹興酒>が通じなくて困った。
なんと発音すれば良いのか解らず、
楽しみにしていた紹興酒を飲み損ねるところであった。
<
シャオ シン ジョー>と言う。
さて、ビールもシャオシンジョージョーも持ち込んだ、
我々のテーブルに、
大きな鍋が運ばれてきた。
量も多いが、具の種類も多いという、寄せ鍋だ。
肉は、猪(豚)を選択した。
何種類かの魚介類や野菜と共に、グラグラと煮え立っている。
ぶ厚く黒い石で出来た鍋なのだが、
オカワリの魚介類が別皿で出されている。
っと、その横に、
生卵が5つ置いてある。
ん・・?
生卵をどうするのだろう?
日本以外で、生卵を食べる習慣ってあったっけ?
耳の後ろを掻きながら、そお~っと、隣の家族の様子を見やる。
カチャカチャカチャっ
子供たちが、卵を割って、掻きまわしている。
フムフム・・
スキ焼きの要領で食べると、見えた。
マネっこをする。
と云うより、スキ焼き食べなら、おいら達の本領発揮だ。
ハフハフ~
石頭は熱い。
フゲフゲ~
何を食べているのかよく解らないのだが、とにかく旨い。
ゴクゴク~
スープが、出ダシのメリーゴーランドだ。
あまりもの旨さに、誰もがフグフグ、ハグハグしか言わない。
開け放した、ドアや窓から、南国の風が吹き込み、
湯気を蹴散らしてゆく。
たった2人前なのに、満腹になり、
雑炊まで、進めなかった。
あんなに食ったのに、夜中に喉が渇かなかった。
塩分控えめなんだあ~
お勘定 一人700円