「トットリ」
と喋り始めると、「トットリサキュウ」まで口から出てしまう。
トットリと口の葉にのせて、
そこで、終われるのは、鳥取県人だけかもしれない。
我々は、砂丘をくっ付けてしまう。
それほど、鳥取砂丘の名前は、全国区だ。
その鳥取砂丘にこれまで行った事がなかった。
行きたい行きたいと願いながら、行ってなかった。
全国の主要な観光地の殆どに、足跡を付けている私なのに、
鳥取砂丘に、足跡を標してなかった。
なぜか?
実は、大切にとってあったのだ。
日本で唯一の砂漠のケタを、いつか測ろうと待っていたのだ。
その日がやってきた。
ついに、という接頭語と共にやってきた。
立った。
多くの観光客と共に、その場に立った。
う~~ん?
この表現が間違っているので訂正しよう。
歩いた。
多くの観光客と共に、砂丘を歩いた。
行った事の無い方に、教えよう。
砂丘は、なだらかではない。
「え~なだらかでないのぉ~?」
と言う方に、はっきり言いたい。
<丘>と言っているではないか!
君は、丘という文字に気付かずに、砂丘に足を踏み込んだのか?
登るという行為を考えなかったのか?
靴ひもを締め直すという考えは浮かばなかったのか?
よもやハイヒール履きで怒っている君は、
丘をの文字を、再認識しなさい!
その丘に、私は走りだす。
標高差50mの丘に、そそり立つ砂壁がある。
ヨーイ、ドン!
登る、登る。
ズルズル、砂が滑りおちてくる。
係り員がとんできた。
「真っすぐ登って下さい!」
『アッチを登ってもいいですか?』
「アッチは、ツライくて誰も登んないよ」
お~し、アッチの壁に挑む。
ズルズルズルズル~ズルズルズルズ~
登った分だけ、落ちてゆく。
頂上だあ~
次は~
「よお~し、この崖を下ろう!」
あああ~~あああああ~~~
美しいサンドの崖を走り下る。
月面に降り立ったかの錯覚に陥る。
楽しい。
素晴らしく楽しい。
でも、アナタ、この楽しさを味わうには、
2時間歩く覚悟をしなさい。
往復30分で、帰ってくるような事では、
丘の美しさは望めない。
なんたって、<丘>なんだから。