「ボクの部屋、貴賓室って言うんですよ」
言っているのは、役者、陣内孝則だ。
イシマルの部屋が広いと昨日述べたが、その比ではないらしい。
映画の主役をやっているのだから、
当然と云えば、当然なのだが・・
「あまりに広くて、使いきれないんですよ」
『
空調スイッチ見つけた?』
「ええ、」
『あっそ』
「聞いて下さい、ボクは、ベッドで寝ころびながら、
テレビを見たいんですよ。
でも、ベッドルームが別なんです」
『貴賓室だからね』
「仕方ないから、テレビの部屋でソファーに座って、
見ようとしたら、広すぎて、
ソファーからテレビまでの距離が、ムチャ遠くて」
『ふむ』
「字幕が読めなくて、仕方なく、近寄って見てるんですけど、
結局、広~い部屋のほんの片隅しか利用してなくて・・」
『貴賓室の?』
「貴賓室の」
『そりゃ、もったいないネ』
「イシマルさん代わってくれません?」
『やだネ、俺、貴賓じゃないもん』
「イシマルさんの部屋、露天風呂が付いてるんでしょ」
『なんで知ってんの?』
「今、自分で言ったじゃないですか」
『うぐっ』
「ボクの部屋、貴賓室なのに、露天風呂ないんですよ」
『そりゃ、可哀そうだネ』
「露天風呂、ずるいですよ」
『主役なんだから、ガマンしなさい』
「でも」
『
空調のスイッチあったんでしょ!』
立って半畳、寝て一畳。
日本には、いい言葉があります。