
<横断>
昔から、横断に目がなかった。
横断する・・という言葉に惹かれ続けた。
高校の頃、九州横断道路をテクテクと歩いて、
大分市から、阿蘇山まで、行ったことがある。
昨年は、三浦半島から伊豆半島まで、
ウインドサーフィンで横断した。
ん・・?
三浦半島?
三浦半島を横断したらどうだろう?
きっかけはいつも、単純だ。
道路を歩いての横断ではつまらない。
何か面白い道はないかな・・と地図を見ていたら・・
《三浦アルプス》
なんだ?三浦アルプスって?
183mしかない山を、富士山と呼んで崇めている、
三浦半島の住人が名づけたのだろうか?
よし、行ってみよう。

出発点は、葉山に決めた。
葉山の海から、東京湾まで、山づたいに横断するのだ!
隊員は、私を含めて3人。
葉山教会の横から、急坂を登ってゆく。
この坂は、自動車道路であるはずなのだが、
もの凄い傾斜である。
本当に車が上れるのかと、いぶかんでしまう。
もし雪が降ったら、
スキーのジャンプ台になるのではないか?
汗をかきかき、グングン高度をかせぐと、
標高100mほどの展望台に出た。
相模湾が一望できる。
遠くに、富士山がポッカリ。
江ノ島が、ちょこん。
伊豆半島が、ぐわ~んと南に向かって伸び、
手前の枯れ枝に、トンビが、ピンヨロ。

さて、この三浦アルプス、最高点で、211m。
な~んだ、たいしたことないじゃ~ん。
と、なめていたら、あにはからんや!
登ったり下ったり、
又、登るかと思えば、すぐくだる。

常に、峰のピークを拾って進むのである。
違う言い方をすると、
いちいち几帳面に
高い所を、漏れなく通るのだ。
だからして、時間がかかる。
筋肉にも負担がかかる。
ところが、このアルプスは、
様々なバリエーションを見せてくれる楽しい山脈である。
山脈と呼べるかどうか・・意見は分かれるところだが、
隊員のナカヒラ君は、<超>の文字連発で、
浮かれっぱなしであった。
富士山を背にして歩くこと、5時間、
ついに、東京湾が見えてきた。
千葉も見える。
ベイブリッジも、新宿副都心も見える。
おお~アレは、アレではないか!
スカイツリーが、くっきりと見える。
直線距離で、90キロほど離れているというのに。
この横断の素晴らしいところは、
行程中、一度も、道路を横切る必要がないことだ。
登りはじめて、降りてくるまで、完全な、山歩きである。
およそ10キロの距離を6時間かけて、
海から海に我らは抜けた。
よし、今度、三浦半島を横断し、そのまま
相模湾横断というのはどうだろう?
きっかけは、常に単純だ。

相模湾横断