
<伴走車>
今回の、しまなみ海道チャレンジでは、
ひとりの伴走人がいた。
《ゆっこ隊員》
我らの後やら前やら、丁寧に伴走してくれる人間だ。
いざという時に、自転車をピックアップしてくれたり・・
いざという時に、病院に運んでくれたり・・
の・・筈だった。
我々は、気づいていなかった。
ゆっこ隊員が生来の
方向音痴であることに・・
それも、生粋の方向音痴であることに・・
さあ、出発だあ!
隊長の私が、ゆっこ隊員に、レクチャーを始める。
マツダのボンゴのハンドルを握る彼女は、
それなりに勇壮だ。
なんたって、オートマでない。
クラッチのついたマニュアル車なのだ。
今どき、マニュアル車が運転できる女性がいるだろうか?
しかし、その割には、スーパーに買い物に車で行くと、
停める場所が決まっている。
ある特定の場所しか停めない。
いや、停められない。
そこに停められない時は、帰ってくる。
食料買い出しより、
駐車場に停められるかどうかが、優先条項なのだ。
たとえ飯が食えなくても、
出来ない駐車はやらない。
徹底している。
「あそこの
突き当たりを
左に曲がってください」
指差しながら、簡単な、示唆を与えた。
「
左に曲がれば、高速入り口があります」
『は~い』
ゆっこ隊員が、発進する。
突き当たりで、ウインカーが点滅する。
《
右》だ・・・
見ている全員ががっかりする。
はやくも、方向を間違えた。
プルル~
数分後、携帯電話が鳴る。
『私、どこにいるんでしょ?』
「う~んとね、僕ら、自転車こいでるんでね、
とりあえず、しばらく頑張ってみて!」
プルル~
『なんかネ、私知らない場所にいるヨ』
プルル~
『ごめんなさい、辿り着けないね、おホホ』
なぞの電話が頻繁にかかる。
本来なら、伴走というレスキュー車が、
迷走しているらしい。
プルル~
『私は、だれ?』
「カーナビの声を聞いてください!」
『カーナビぃ・・見た事ないもん』
プルル~
『着いてるヨ』
え~?
突然、着いたの連絡。
う~む、方向音痴のゆっこ隊員に、運が見方したようだ。
方向音痴にも、真実があった。
《反対の反対は正解》