
埼玉県の高速道路の脇の道を走っていた。
道に、あるものが置いてあった。
<テレビ>
ブラウン管テレビである。
この置かれ方は、どう理解すればいいのだろうか?
そもそも
置かれ方という言い方が間違いかもしれん。
<捨て方>と呼んだほうがいいようだ。
山や海に、不法投棄をする輩がいる。
人に見つからないように、見つけにくい場所を選んで、
テレビや洗濯機を捨てていく。
許せない輩である。
で、このテレビを捨てた輩は、
どういう心根をしているのだろうか?
ここは、どっちかというと、
見つかり易い場所である。
捨てている最中も見つかり易い場所である。
しかも、よりによって、コーナーに捨てている。
車の往来の邪魔をしている。
捨て方も、おかしい。
捨てる=放る という図式を逸脱し、
几帳面に置いている。
電源コードが繋がっていれば、
番組が写るのではいかとさえ勘ぐってしまう。
推察;
この輩は、このテレビを
こよなく愛していたに違いない。
折からの、デジタル化で、テレビの買い替えを余儀なくされた。
しかし、愛着のあるこのテレビをゴミに出したくない。
「誰か、いらんかい?」
友人知人に声を掛けてみるものの、欲しい人などいやしない。
「ゴミ回収してもらいなよ」
家人にも、やっかいばらいされている。
そこで、夜遅く、一念発起して、テレビを車に押し込んだ。
テレビだけじゃ可哀相ってんで、
台座も押し込んだ。
夜、あまり人通りのない高速下にやってきた。
(さっ、ここに降りなさい)
まるで、ペットを捨てるような思惑で、台座つきテレビを降ろす。
(誰か、いい人に拾っておもらい)
最後にテレビの頭をひとなでして、その輩は去っていく。
振り返る。
(よし、よく目だっているぞ、これならきっと・・)
で、私に発見されたワケだ。
あのね、拾わないよ。
ゴミは捨てたらいかんよ!
ペットはもっといかんよ!