「隠岐に行ったら、断崖に行きナ」
行った。
<魔天崖> (まてんがい)
標高257mの高さに、草原が広がっている。
そこへ行くには、車でも行ける。
しかし、歩いて登るのが面白そうだ。
実際、面白かった。
垂直にそそり立つ絶壁を眺めながらの、山登りは壮観だ。
絶壁だあ~!
かと思えば、道の横では、牛がのんびり草を食んでいる。
日本海に突如とび出した絶壁には、
風と潮がぶつかり、異様な風景を創り出している。
この悲壮とも思える絶景と、牧歌的な牛や馬との対比が、
なんともいえぬ、なごみの時間を与えてくれる。
西風が、大陸の黄砂を運んできている。
雲ひとつなく晴れているのに、太陽は、ぼんやりして、
夕焼けへの期待がふくらむ。
どうもこの島は、
激しさとゆっくりとが同居している。
数日、この島に居て、何か変だと気づいた。
質問!
「イノシシは居ないんですか?」
『いね』
「猿は出てこないんですか?」
『こね』
「鹿の害は無いんですか?」
『ね』
なんと、日本三大害獣と云われている
《猪、猿、鹿》がいないと云うのだ!
ひえ~~!
っと驚いた方は、農家の方だな。
日本中の農家は、奴らが居るために、
「もう、百姓やめるだヨ・・」
嘆いてさえいるのだ。
ところが、隠岐の島では、奴らがいない。
ついでに言えば、<熊>もいない。
ついでに言うことではなかったな。
ん・・?
もうひとつ気づいたゾ・・
この島には・・・
日本中の港のどこに行っても必ずいる、アイツがいない・・
アイツとは・・《カモメ》