「イシマルさん、ボクは何を頑張ったらいいんですか?」
《
がんばろう日本!》
彼は今、日本中にあふれているこの標語を見て、質問している。
「何をどうしたら、いいのか分らないんですヨ」
彼は、
具体的ながんばり方が、分らないと言う。
「今、東北に行っても、邪魔だろうし、
献金はしてますけど、それ以上何をしたら・・」
私は、彼を連れて、スーパーに行った。
『今日、鍋やるから、食材カゴに入れて』
私は、彼が、アトランダムに放り込んでいるモノを見ていた。
そして、言ってみたのだ。
『その白菜の隣にある白菜、
茨城産と書いてあるよ。
それにすれば・・
そのネギのあっちには、
福島産のネギがあるよ。
あっちにすれば・・
このシイタケは、
宮城産だね』
その後、グルグルと、廻ってきた彼が、ポツリと語る。
「コレって、ボクがんばってますよネ」
『うん、がんばってるよ』
「よかった」
『でもね、それをがんばりと呼んではいけない』
「えっ?」
『だって、風評を君はまだ、信じている』
「ボクが?」
『なぜ、福島産の野菜をがんばって買うんだい?』
「だって」
『だってじゃない。本当のがんばりは、もっと後にやってくる。
今、僕らは、普通に東北産の野菜を買う気持ちを、
持たねばならないんだ』
「わかりました、イシマルさんもいつも買ってるんですか?」
『売ってるお店を、探してでもね』
「えらいですね」
『えらくない。君は、何をがんばるか分らないと言ったね』
「はい」
『君の場合は、まず、スーパーから始めよう!』