
昨日、梨本謙次郎の話をした。
その撮影現場だ。
混乱している現場だ。
スタッフは、案を出した。
「役名で呼ぶのはやめましょう」
石丸=役名(梨本)
梨本=役名(小林)
この混乱を避ける為、それぞれの、本名で呼ぶ事にした。
「梨本さ~ん」
梨本本人が、振り向く。
石丸は、知らん顔。
現場は正常状態に戻った・・・
戻った・・筈だった。
まさか、その後、こんな混乱が待ち受けていようとは・・
昨日の、ロケ現場は、3人の役者が登場した。
石丸謙二郎
梨本謙次郎
渡辺謙
さあ、賢明なアナタなら、何か気付いたネ。
役者界でも滅多に起こり得ない、ある漢字が羅列したのだ。
<謙>
謙の文字を名前に持つ役者3人が、同じ現場に揃ったのだ。
「ケンちゃん、ちょっと来て」
石橋監督がおっしゃる。
この大御所である素敵な石橋監督は、私のことを、
「ケンちゃん」と呼ぶ。
そして、他の現場では、梨本謙次郎を
「ケンちゃん」と呼んでいたらしい。
更に、他の現場では、渡辺謙を、
「けんちゃん」と呼んでいたようだ。
その監督が、
「ケンちゃん」と声を発すると、
当然のごとく、3人が反応する。
首をグルリと振り向ける。
「ああ~いやいや、アナタじゃなくて、ソナタのケンちゃん」
余計分らなくなる会話の現場が出現した。
で、どうしたか?
「
ケンさん」
渡辺謙は、そう呼ばれることになった。
さすが、ハリウッド俳優、格が違う。
「
ナシケン」
梨本謙次郎は、短縮形のナシケンと呼ばれた。
ふむ、監督に愛されている。
で、私だ。
「
イシマルさ~ん」
もっとも、普通に、呼ばれた。
そんな私を気遣ったのか・・
監督は、こうも呼んでくれた。
「
イシケンさあ」
監督ぅ~ナシケンとイシケン・・又間違わな~い?